Day2 フィッシングランド鹿島槍ガーデン(2009.8.4)

Angler  多田

鹿島槍エリアガーデンでは前回の開成FSではまったミノーイング中心の釣りにしようと決めて釣行に臨んだ。朝一、まずからし色単色のプレッソミノーを結びジャークさせながら巻いてくると、魚はまるで反応しない。すこし巻き方を変え、スローのただ巻きにショートトゥイッチを交えながら巻いてみたがこれもまるで無視である。おそらく定番カラーであり使うアングラーも多いカラシカラーにすれているようである。そこでアピール低めでナチュラルな暗めのかにみそカラーのミノーをチョイスし、これをトゥイッチで誘いながら巻いてくると良型レインボーがヒットした。鹿島槍の魚はコンディションがいいのかなかなか寄ってこない上にすごい勢いで走る!早く一尾を手にしたかった私は焦り早く寄せようとドラグ調整をきつめにし一気に寄せてネットインに持ち込もうとした。そのとき!ぷつん。突如ラインがテンションを失った。痛恨のラインブレイク。考えて導きだした答えが実を結んだのもつかの間、アタリルアーをロストしてしまったのである。滑り出しは最悪だ。

流れを変えるべく、水がながれているストリームのエリアに移動した。魚はみな上流を見ている。そこで上流からダウンストリームでラインをひいてスイッチを入れるのもアリだが、ここはやはりストーキングで気づかれない事が先決だ。朝一で人も入っておらず魚の警戒心は低めだ。徒に警戒させるのは釣果に結びつかないだろうと思った私は、下流の茂みに身をひそめしゃがみならセミ系ルアーのシケイダーをアップストリームの流れの落ち込み口に落としナチュラルドリフトさせると、絵に描いたようなヒット!今回は慎重に取り込み一尾を手にした。

その後はスプーンの釣りに変え、ラインであたりを取る練習をしたがなかなか掴めずティップの穂先を見つめながらのスローな釣りを展開した。スローな釣りはリズムが悪く個人的には好きではない。そこで通常取れないと言われる目の前の魚をサイトで釣ろうと試みた。面白いもので魚は立ったままルアーを落とすのとすこししゃがみながらルアーを落とすのでは見に来るスピードが違った。その後カラー、フォールスピード、タナなどの要素をそれぞれ変化させながら魚の反応が一番いい値を導きだす。意中の相手をより深く知ろうとあらゆる角度から尾け狙いながらじっくりじっくり追いつめる。ストーカー釣法とは言い得て妙である(笑)そこで軽めのスプーンをゆっくりフォールさせ着底させたまま動かさないほっとけメソッドが一番可能性を感じたので試していると、レア魚ニッコウイワナが口を使った!うねうねという独特の引きを楽しみながらネットイン!実に面白い。

昼頃になり日が射してくるとどうしても魚の活性は下がる。ちょうどその頃、ネイティブトラウトでは定番シンキングミノー、アレクサンドラをアワセ切れでロストした多田の活性もまた極端に下がっていた。何も考えずにぼーっとスプーンをそこすれすれを巻いていると根掛かりでフライを拾ってきた。退屈が私を支配していたそのころ、あるエポックメイキングなアイデアを思いついた。このフライをルアータックルに結び、茂みに隠れながら真下の魚を釣ったら面白いのではないか、と思ったのである。笑 これを試すと良型のレインボーやブラウンが何も躊躇なく食いついた!柴さんには「本当せこいわー」と言われ、芹沢さんには「それはチートだろ」とディスりにディスられたがこれは問題にならなかった。この釣りは私の中に眠っていた悪戯なワルガキを揺り起こしてしまったのである。軽いフライをルアーロッドで投げるのは難しく自然と怪しいフォームになり、またフライを沈めると食わないため竿を高くあげる格好になるためますます怪しくなるが、こうして釣る魚は目の前でヒットするので視覚的にも楽しめる。この釣りは昼飯までの15分感僕を魅了し続け、金森さんをボウズから救出した。


冬でもTシャツ芹澤隊長はラパラで執念の一匹

午後は有力ミノーをロストしたためにスプーン中心のスローな釣りになり、ぽつぽつ釣る程度で終わってしまった。今回の釣行を通じて私は完全にラインブレイク恐怖症になった。エリア初心者の私はバス釣りのクリンチノットを使用していたが、細いラインで大きい魚がバンバン釣れるエリアの釣りではこれでは十分でないと感じた。また頻繁にラインを長めにカットしてルアーを結ぶクセをつけようと思った。ミノーの釣りは面白い。ミノーは魚にとっては明らかに怪しい物体であり、食性で食ってくる事はそうないのだろうと私は考えている。ミノーは明らか魚をスレさせている。そして同時に誘っている。この駆け引きの中で魚に限界点を超えさせてしまう、そんな釣りだ。次回チャレンジするときは今回のラインブレイクから得た反省点を活かしロストすることなく、また持ち駒を多めにそろえ、魚との駆け引きを100%フルに楽しみたい。写真の中の鹿島槍に復讐を誓った。



Angler  市毛

朝から晩まで釣り三昧、慶應義塾大学釣魚会の夏合宿。その二日目は管理釣り場でのトラウトフィッシング。場所は鹿嶋槍ガーデン、釣れる魚がどれも大 きいこ とで有名であり、ここ最近、全国でも人気No.1を誇るエリアだ。周囲400Mの池が3つ、川を区切った小規模な池が3つ、加えて渓流エリアまである という大規模なエリアである。事前の情報によると、人気のせいかプレッシャーが高く、かなり手強いエリアであるとのこと。不安と期待が入り混じる中の実釣 となった。 当日は朝8時頃からの釣行となった。本当は朝イチからの釣行、と行きたいところであったが、我々の泊まるキャンプ場か ら鹿嶋槍ガーデンまで距離があるため、柴さんの車での送迎、しかも人数の関係上、二回に分けての送迎(僕たち下級生のために往復40分の道のりを何度も行 き来していただいた柴さんには本当に感謝しております)であった。幸運にも、僕は先発隊に入れていただいたのだが、食料調達や、燃料補給、トイレアクシデント(笑)など、様々なことが重なり、現場に到着した時点で、すでに8時過 ぎ。朝イチの美味しい時間を逃してしまっていた。

単身、先ほど反応があった流れ込みへと移動。前情報に 忠実に、重めのスプーンをひたすら投げ続ける。時折、竿を持ち替え、普段あまり使用しないミノーも投入し、ただ巻き。が、双方ともに反応が薄い。結局、ここまででス プーンで3匹のみ。釣ったというよりも、釣れてしまった、という感覚である。 あまりにも釣れないので、流れ込みに 溜まっている小型の岩魚君に遊んでもらおうと、ミノーを流し、軽くジャークしてみる。するとどうだろうか!岩魚ではなく、ニジマスがわらわらと集まって くる!先ほどまでの沈黙がウソのようである!ニジマスはミノーではただ巻き、激しいアクションはご法度、と前情報を受けていた僕にとっては衝撃であった。 どうやら前情報に踊らされすぎたようだ。その場の状況に合わせて臨機応変に対応し、魚と闘う。それが釣りであったろうに。

これで目が覚め た僕はミノーを様々に動かし、ニジマスの反応を見る。どうやら、病的なまでに竿をジャークし、ルアーがダートする時間を長くとってやると好反応を示すよう である。このイメージを持ち、遠投したミノーを泳がせる。しゃこん、しゃこん、と竿を激しくシャクり続ける。しゃこん、しゃこん、しゃこん、ゴン!強烈な アタリだ!ファイトの末、あがって来たのは40後半のニジマス。やはり、激しいダートがニジマスにも効くようである。

ミノーにご執心の市毛氏
 

と、ここで多田君が合流。一緒に流れ込みで実釣開始。話を聞くと、多田君はスプーンでなかなか釣れているとのこと。現に目の前でスプーンでポツポツ魚 を上げている。うむ、悔しいが上手い(笑)ふと道路側に目をやると、後発隊の皆が並んで釣りをしていた。どうやら僕は後発隊が合流したことにも気がつかな い程、釣りに熱中していたようだ。うむ?その後発隊の一人、武田信玄をこよなく愛する中川くん(通称たけしん)がロッドを根元から曲げているではないか!お次は体 をのけぞらせたぞ!最後には力無くヒザを折りやがった!・・・そう、どうやらバラしたようだ。どれ程の大物であったか、未だ力無くヒザを折るたけしんの 姿から 想像がつく。おや?今度は芹沢さんのロッドが三日月状態だ。

芹沢さん、あんなにやわらかい竿使ってたっけ?などと思っていたところ、何だかわめきな がら走りだした。周囲400Mの池。その一辺を颯爽と走っている。まだ走る。そして芹沢さんは・・・僕の視界の外へと走り抜けていった・・・。このまま池を一周して僕の所まで来たら面白いな、などど考えていたが、自分の釣りに戻ることとした。皆、到着早々に竿を絞り込んでいるのだから僕も負けるわけにはいかない。 まずは、先ほど手にした突破口、ジャークをさらに追求してゆく。水質がクリアなので20M程度先までなら魚の反応が見て取れる。様々に試した結果、ジャー ク後のステイはサスペンドミノーが一番好反応であった。この実験中に数匹40中盤〜終盤のものを追加したので、大物狙いへシフト。ミノーのサイズを 50mmから70mm へと上げる。今度は沖へ思いっきり遠投し、ルアーを躍らせる。しゃこん、しゃこん、ぴた。これを繰り返す。一投目は無反応。二投目。今度はダートさせる時 間を先ほどより長くとってみる。しゃこん、しゃこん、ぴた。ズドン!瞬時に竿は三日月を描き、手元には凄まじい衝撃が響く!ドラグが鳴り止まない!!!なんという重 さ!パワー!瞬発力!「お前を待っていたあああ!」興奮のあまり思わず口をつく言葉!奴はまだまだ突っ走る!竿を両手で支えるだけで精一杯だ!少しでも変なことをしたらラインはプツンだろう。80Mは走られたか?ここでラインの残りはあとわずかとなる。決死の覚悟でドラグをしめる!切れるなよー、と祈りな がら寄せて は離されの攻防を繰り返す。もうラインも限界に近い。やっとのことで寄って来た魚体、60センチはゆうに越えている!これは70にも届く!と興奮していた矢先の出来事であった。 ランディングネットを見た「奴」が最後のあがきを見せた。水面が凄まじい爆発を起こし、僕の竿から重さがスルリと抜け落ちた。バレタのだ・・・。逃がした悔しさと長い格闘の疲労が 僕を襲う。戻ってきたルアーの針は見事に伸び切っていた。


中川くん、メガバスx30の威力を思い知るがいい…

ここで皆の様子見も兼ね、二号池を一周することとした。僕が移動している間にも多田君、飯田君、小野君が良型を上げている。他の方も魚をかけている。特に フライの柴さんはひどい。反則だ(笑)まあ、腕が良いからに違いないのだが。皆の隣にお邪魔しつつ会話をしながら僕も数匹上げると、また池一周の旅に出た。元の場所に戻る頃にはある程度、満足行く数を釣りあげることができたので、上の一号池へと移動。

一号池はほぼ貸切状態であった。しかも80を越えるモンスターサイズが幾匹も泳いでいるではないか!中にはメーターオーバーの固体も!興奮してキャストを 繰り返すも、反応は薄い。ぬーっとルアーまで近づいてきたと思ったら、すぐに反転して遠くへ逃げてしまう。うむ、大きいだけあってとても手強い。場所をこまめに変え、ルアー も変えながら攻めてゆく。半分以上攻めたところで、一匹のモンスターブラウンがすごい勢いでルアーへ突進してきた!が、反転。しかし、こいつは遠くへ逃げ ることなく目先10Mの所で止まった。見ただけで分かる。80は余裕で越えている。これはチャンスだ。捕食スイッチの入ったモンスターが目の前にいる!こいつが何を 捕食しているか分からないが、他の小さなトラウトも食べているだろうな、と考え、ルアーをニジマスに酷似したものへと変更。もちろん二号池の結果をふま え、70のサスペンド。場が休んだところで、こちらに頭が向きはじめたモンスターの後方5Mへキャスト。遊泳開始!しゃこん、しゃこん、ぴた。しゃこん、 しゃこん、ぴ た。緊張が体を縛り付けるがルアーの動きは意地と根性でキープ。そろそろ奴の視界に入るぞ。うしっ、隣を抜けた、と思った瞬間だった。奴が身をひるがえし、口を使った!「うおしゃぁぁぁぁ!ここだ!ここぉぉぉぉ!」絶叫しながらビシッビシッと二回、しっかりとフッキングを決める!伝わる衝撃、うなるドラグ!!!と う とうかけた !だがしかし、こっからが勝負、と気を引きしめる!そうして僕が竿を握りなおした時である。モンスターは凄まじいパワーで僕の体を引きずり、水中には土煙が立ち込め た。瞬間、何かが僕の頬をかすめる。・・・僕のルアーであった。またしてもバラしてしまったのだ。確認してみると、また針が伸びきっていた。本当にここの魚は強い。 しかし、不思議であるが、今度は悔しさよりも感動の方が大きかった。前情報の呪縛を逃れ、突破口となる釣法を見つけ、狙ったモンスターにとうとう口を使わせた。ランディ ングにこそ至らなかったが、間違いなく記憶に残る一瞬であった。


グッドサイズをキャッチしてご満悦の小野くん

その後、雨が降り、ワンキャスト・ワンバイトの入れ食いを体験した。二号池脇の小池でも遊んだ。皆が雨で休んでいる中、僕と多田くんで小池の流れの中にい る魚を釣ったりもした。流れのある場所で釣るのは難しく、とてもおもしろかった。途中、雨の中、芹沢さんも合流し、「おんもしれー」と叫びながら小池で爆 釣していた 。その後、「絶対これで釣るんだあああ!」と意気込みながら、管理釣り場としては異常なサイズ、90mmの極大ミノーを投げ続けた芹沢さん。気合いと根性の末、終了間際に一尾釣り上げた。こちらが嬉しくなるような、とても無邪気な笑顔を見せてくださった。なんだか嬉しくて、みんなで大はしゃぎした。下の三号池では、 たけしんが柴さんにフライを教わっていたり、飯田君が15分の格闘の末、70あるかという大物を逃がしたりと楽しんでいた。結局、僕は最高 が50UP止 まり。みんな60UPへ届かなかったが、書き出したら止まらない程、このエリアで遊ぶことができた(柴さんだけ、こっそり70UPを釣り上げていたことを後に知る。ちくしょう!)。納得のゆくサイズが出ずとも、本当に楽しい時間であったことは確かだ。釣りを通して知り合った男達が、各々の日常を離れ、一緒の非日常の 中で遊ぶのである。成人していることを忘れ、子供のように、無邪気に遊ぶので ある。釣り とはなんと素晴らしいものであろうか。こんな素敵な仲間と共に過ごす時間をくれる釣りに、僕は感謝したい。ありがとう。


柴はシューティングスペイスタイルで70upをキャッチ

夏合宿 Nagano Omachi 2009Topへ